2014年5月16日金曜日

中国の拡大、日本の縮小、今だけでなく将来を見据えろ

対中国観は人によって上から下までかなりの差があり、
既にアメリカと並ぶ世界の最重要国であると語る人も居れば、
バブルで数字だけ膨らんでいる張り子の虎だと嘲笑する人も居る。

中国の経済発展についても、多くのエコノミストは遠からずアメリカの経済規模を抜くと予想しているのに対して、
日本の一部の懐疑論者は鼻にもかけない。


確かに、中国の統計はいい加減のようであり、資産バブルも発生しているようにみえる。
しかしそれらを全て織り込んだとしても、中国の経済規模は、急速に拡大している。
経済成長率が8%から7%に落ちるのは、走っていなければ転んでしまう中国経済にとっては
深刻な問題ではある。積極的な不動産担保融資で経済をふくらませている今、
予想より景気が悪いと信用収縮が起きる。大雑把にいえばリーマンショックのような事が起きうる。

だから、中国は恐るるに足らない国なのだろうか?

または、未だ国民の教育レベルが低いから、もしくは一人あたりGDPが低いから、
恐れる必要がないのであろうか?

否。

とにかく、全部ひっくるめ、途中で大きな不況や信用収縮を挟むかもしれないが、
中国の経済規模は我々が生きている間に日本の数倍規模になる事自体は確実だ。
 
アメリカとの比較がどうなるかは別だが、日本は中長期的に
中国と地域覇権を競う事は叶わないだろう。

今までのアメリカがそうであったように、中国は世界中に影響力を持ち始める可能性も有る。
もともと安保理常任理事国であり、核保有国だ。
それが経済規模の上でも圧倒的な地位を占め、それに伴い海軍力も整え、
今のアメリカのように世界中に海軍を派遣しはじめたらどうか。

一方、日本は急成長は望めない。
それどころか、中国以外の国との相対的な重要度すら低下していく可能性が有る。

名目GDPで考えよう。
バブル1989年、日本のGDPは約3兆USDであったが、これは世界のGDPの1/8を占めていた。
日本はアメリカ(約5.6兆USD)に次ぐ二位だったが、3位ドイツ以下は日本の半分に満たず、
10位の国までが日本の10%以上のGDP規模だった。まさに日本は重要な国だった。

2006年になると、長期不況の日本(4.3兆USD)はアメリカ(14兆USD)に大きく離された。
一方独中英仏が日本の半分以上のGDPを稼ぎだした。17位までは日本の10%以上のGDPを記録し、日本経済は世界経済の1/12にまで地位を落とした。

2013年では既に中国に二位の座を奪われたどころか、中国の半分以下のGDPとなった。
独仏英は以前日本の半分以上のGDPを稼いでいるが、その背後にはブラジルやロシア、
インドなどの新興国が迫っている。24位までの国が日本の10%以上のGDPを稼いだ。
日本のGDPは世界の1/15程度で、1989時点と比べて
存在感は半分、「2位」の座を奪われ、成長率が悪いことを考えれば存在感はもっと薄い。

逆に中国はGDP世界シェアで1989年当時の日本と同等程度にまで成長した。
無理の有る成長であると思うが、とにかく金が動いているというのはその時点で何らかの力を生むものだ。
1989年当時と比較するとサプライチェーンは世界的に複雑化・国際化しており、
資本も自由化されている。ありとあらゆるところに中国製の部品、中国の資本、中国の意思が
紛れ込んできうる。それらの部分部分で日本は劣勢に立つだろう。

そういう下地の上で、大きな戦略としてどう中国と向き合うのか。
中国は、我々が心配している程の覇権主義国家にはならないかもしれないが、
少なくとも今よりは強力な軍事力を持つだろう。
控えめに見て、中国が現在主張している程度の領海、領有権は確保しうるだろう。
尖閣も含めてだ。
「そこよりさらに外を取ろうとしない」ならば「ずいぶん予想より控えめ」な話だろう。

中長期的に、欧米諸国は、落とし所はそこだと考えているのではないか。
中国をそのラインで思いとどまらせる事ができるなら、尖閣や南沙・西沙諸島は安いと。

日本はどうしたいのか、どうするのか?尖閣は?沖縄までよこせといってきたら?
こちらから戦争をしかける、という選択肢もないだろう。
中国の経済力、市場を完全に敵に回したい国も少ない(アメリカも含めてだ)。
一人で守りを固めていても、中国軍の圧倒的な軍事予算拡大を見ていれば
戦力差は開いていくだろう。時間が経つほど日本に不利だ。

これは結構近い将来に想定しうる話であって、対策は講じておくべきシナリオだと思う。
嫌なことかもしれないが、中国は力をつけた。これは事実であり、
以前と比べて世界における日本の重要性が薄れていることも事実だ。
不利。不利だ。

中国がでっかくなる事で、世界で一番不利な国が日本だといってもいい。
だから、中国がでかくなる事について真剣に考えなければならない。
目をそむけず、とりうる選択肢を、見栄えが良くないものであっても、心が痛む選択であっても、
選ばなければならない事になるかもしれない。